夢見たものは

「夢見たものは」という詩に心を打たれました。初めにこの詩の歌を聴いたときはとっても美しくて素敵な詩に惹かれ、後々まで心地よい余韻を残してくれたようでした。作者の立原道造という方はこの詩を作った翌年に若くして病気で亡くなったということを後で知りました。そのことを知ったうえで改めて読み返すと、病気でわが身が果てることを受け入れたであろう作者の突き抜けるくらいの幸せへの想いが読み取れるようで胸が熱くなります。一行一行の詩は穏やかで静かな情景を思わせてくれるのですが、だからこそ叶わぬ幸せへの切々とした想いの強さがいかばかりのものだったのか、と思うと心を揺さぶられるようです。

 

 

夢みたものは ひとつの幸福
ねがったものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しずかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある

日傘をさした 田舎の娘らが
着かざって 唄をうたっている
大きなまるい輪をかいて
田舎の娘らが 踊をおどっている

告げて うたっているのは
青い翼の一羽の 小鳥
低い枝で うたっている

夢みたものは ひとつの愛
ねがったものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と

励みになるもの

ネモフィラの花